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平凡社「日本戦後音楽史」になぜかオレの名前が載っている件について

2007年11月01日 | 関西/大阪アートシーン | del.icio.usに追加 | はてなブックマークに追加 | livedoorクリップに追加

僕は読んでないんですが、今年2月に平凡社から出版された「日本戦後音楽史」という上下刊の本があります。日本戦後音楽史研究会(代表:佐野光司、石田一志、片山杜秀、長木誠司、楢崎洋子、沼野雄司、水野みか子氏ほか)による編著で、戦後の日本音楽史を現代音楽に焦点あてて読み解いていくという内容。上下刊あわせて1100ページほどにもなるなかなかの大著となっています。

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日本戦後音楽史研究会「日本戦後音楽史(上・下)」 各5040円

で、この中には当然、80年代後半〜90年代後半にかけて日本現代音楽界のひとつの拠点として機能した神戸ジーベックホールのことも取り上げられているんですが、そこにはこんな記述が……

また、「Sound Arts」(一九九二〜九九)に日本語・英語対照で掲載された記事は、下記に示すように、コンピュータ音楽におけるアルゴリズムの考え方、サウンドアートの系譜、音色や音律による響きの方法論、インスタレーションやサウンドアートに関する空間論、景観論とサウンドスケープの学際的論点など、幅広いトピックについて、作家の視点と評論の視点の両面から、アップ・トゥ・デイトな生の声を伝えた。

田中宗隆「吉村弘の耳」、桜井真樹子による声明論、高橋悠治「音色の音楽」、嶋本昭三「僕の前衛音楽」(一九五〇年代の具体美術境界との活動について)、赤松正行「ネットワークと仮想空間から聞こえる音」およびインスタレーション<soundtronics field>に関するインタビュー、三輪眞弘へのネットワークをテーマとするインタビュー、左近田展康「音楽以前の音楽テクノロジー論序説」、藤枝守「モノフォニー・コンソールが誕生するまで」、藤島寛による「シュトックハウゼンを超えて」「もう一度光を」(ストリングス・エレクトリックのための田中カレンの委託作品について)などの論考……(略)……巻上公一「ホーメイに憧れて」、岩淵拓郎「借景の音楽」「だからそれはなんなん?」

転載元:日本戦後音楽史・下 371ページ

「Sound Arts」というのはジーベックが発行していた季刊誌で、まぁその内容に関して上にあるようになかなかすごいものだったわけですが、そこに当時まだ20歳そこそこだった自分は分けも分からず寄稿させていただいていたわけです。いやぁ、こんなカタチで、というかこんなそうそうたる執筆陣のみなさまと一緒に名を連ねていただけるなんて、もう有り難いやら申し訳ないやら……。というか、執筆者の方にはなぜあえて僕の書いた原稿をここに挙げたのか小一時間ほど問いつめたい感じですwww

ちなみに「借景の音楽」はサウンドアーティストの坂出達典さんのインタビュー、「だからそれはなんなん?」は当時ジーベックで隔月で行われていたイベント「パーソナル・ミュージック・パーティー(通称、PMP)」のレポート。「借景の音楽」の方は英語訳(翻訳はクリストファー・スティヴンス)が作曲家・カール・ストーン氏のホームページに今も掲載されています。

これらの記事や論考は、九〇年代後半、日本での現代音楽ジャーナリズムが消滅していく時期にあって、ジーベックに集う面々の広がりを伝える貴重な時代証言である。

それにしてもなんていうんですかね、こんなふうに歴史的な意味でジーベックが取り上げられる今になってはじめて、僕は確かにあの頃あの空気を吸ってたんだなと思います。そういう意味では今年いっぱいで終わるCAP HOUSEのことも、10年後くらいしたらそんなふうに感じるのかもしれません。

日本戦後音楽史研究会「日本戦後音楽史 上 」
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日本戦後音楽史研究会「日本戦後音楽史 下」
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