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カレイド参加アーティストの武内貴子さんから作品解説のメールいただきました

2007年04月06日 | 関西/大阪アートシーン | del.icio.usに追加 | はてなブックマークに追加 | livedoorクリップに追加

先月行なわれていた大阪アートカレイドスコープ2007。そのレポのひとつとして書いたエントリー「芝川ビルに行ってきました」を読んで、芝川ビルで展示されていたアーティストのひとり、武内貴子さんがメールを送ってくれました。どうやら僕が「テーマっぽいものを読み取ることは正直出来なかったんですけど……」みたいなことを書いていたので、それに対しご丁寧にメールで解説していただいています。

日付   2007/04/02 20:19
件名   芝川ビルで展示していた武内です。
差出人  武内貴子


今回、私のスペースだった地下室は、かつての花嫁学校だった時代の調理実習室でした。その調理台を使っての作品でした。(調理台は備え付けで動かすことはできません。)

1927年にできた芝川ビルは、本当にハイカラな場所。当時では珍しい西洋料理などもここでは教えられていたとのこと。西洋料理といえば、白いテーブルクロスに煌々たるランプに光る銀食器。そんなイメージが思い浮かんできます。それが、もとのイメージです。

RIMG0041.JPG

花嫁になる時、女性は最高の幸せを感じるでしょう。しかしながら、その幸せがその先どうなるかなんてわからない。ましてや、当時は家柄の問題、しきたりや、いろんなことを花嫁の覆いかぶさっていたのではないでしょうか。でも、花嫁はいつの時代も、白いまだ見えない幸せを夢見る。家族を囲む食卓を彩りたくて、料理をしたでしょう。私はその食卓にテーブルクロスに花嫁をとりまく全ての情事を表現したいと思いました。でも、私は、今ここに在り、その場所に立つことはできても、その時間にまでは戻れない。知れば知ろうとするほど、当時の彼女たちの心情もみえないし、白く靄がかかる。その距離感みたいなものも作品の中にはありました。花嫁のベールのようにしていた、結び目の幕です。あの場所から、テーブルのランプを見つめる。みえそうでみえない。たどりつけない。その距離。

Osaka Art Kaleidoscope at Shibakawa Building

でも、私は、今の人間です。昔のものばかりならべるばかりでなく、私が表現する意味を考えました。ですから、ランプはアンティークなデザインで、現在の素材、現在のものを探し使用しました。そこは個人的にかなりこだわったとこです。それから、結び目の正方形は、当時の床のタイル8×8センチに結ばれていました。いつもこうした空間を構成している造形要素から、結びの形を決めています。最後に、白い粉ですが、小麦粉・米・塩をつかっていました。これは、もちろん、台所食材という意味もありますが、私は福岡の人間で、関西といえば、社会の教科書でみた「天下の台所」というイメージが強く、大阪は食材が集まる場所というイメージでした。ともに、粉モノ文化が発達しているということも。それで、今回大阪のシンボリックな部分もテーブルクロスの1つとして表現しました。(※一部抜粋)

竹内さん、わざわざどうもありがとうございます。これも何かのご縁ですから、大阪に来られたときは是非一度お茶でもご一緒しましょう(ちなみに僕と竹内さんはほとんど面識ありません)。

しかしまあ当たり前のことなんですが、やっぱりこうやって作者本人からお話を聞いてみると作品の見え方が全然変わってきますよね。うーん、これを聞いてからもう一度観に行こうと思っても、もうやってないのがつらい。今回のように街で、それも複数箇所で同時に行なわれる展示なら、もうちょっと長めの会期でやってほしいように思います。というか。噂によると今年度もカレイドスコープはやる予定とのこと。次回は思い切って3ヶ月くらいやってみてはどうでしょう?

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