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コモンカフェ ― 人と人とが出会う場のつくりかた

2007年06月03日 | 関西/大阪アートシーン | del.icio.usに追加 | はてなブックマークに追加 | livedoorクリップに追加

今はなき扇町ミュージアムスクエアからスタートし、「common bar singles」「common cafe」「common style」とさまざまなプロジェクトを展開してきた山納洋(やまのうひろし)さんがこれまでの活動をまとめた本を出版されました。タイトルはずばり「コモンカフェ ― 人と人とが出会う場のつくりかた」

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ちょっと説明しておきますと、common cafe(コモンカフェ)というのは大阪市北区中崎町にある日替わりでマスターやスタッフが代わるカフェ。現在数十人のメンバーによって運営されていて、その日のマスターによってライブや演劇、ちょっとしたサロンのようなイベントも行われたりします。で、このお店の前身となるのが堂山町の雑居ビルにあったcommon bar singles(コモンバー・シングルス)で、それら一連の動きを中心になって動かしてきたのが山納さん。ちなみに彼は扇町ミュージアムスクエア閉館時のマネージャーで、その前は神戸アートビレッジセンターに勤務していたこともあったり。

山納さんという人自体かなり面白い人で、以前208にもゲストで来ていただいたことがあったりするんですが、彼の手がけるそれぞれのプロジェクトもとても地味に革新的だったりします。たとえば少し細かい話になりますけれど、common cafeは日替わりマスター制という性質上、そこで生計を立てている人は誰もいません。つまり「儲けるためのお店」である必要がなく、「継続して行くためのお店」というNPO的な運営が行われています。となると当然毎日の限の売り上げノルマも普通よりはずいぶん低くなり、結果的にそれぞれのマスターが展開する+アルファの部分(演劇・ライブなど)で収益を上げやすくなるという仕組みがそこにはあります。もちろん基本はカフェなので音響や照明がそれほどそろっているわけじゃないんですが、その部分と折り合いさえつけれれば、演劇の人たちは小さな芝居をここでやって、おそらく生涯で初めての黒字公演を経験するわけです。こういう仕組みがcommon cafeでは実際にそれなりにうまく回っています。

他にも山納さんが手がけたプロジェクトは大小いろんなものがあるんですが、その背景にはたぶん山納さんの「場」に対する基本的な考え方みたいなのがベースにあって、この本ではそのあたりが語られていたりします。いやぁ、これは一回読んでおいて損はないかも。グッジョブ、西日本出版社。

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山納洋「コモンカフェ ― 人と人とが出会う場のつくりかた」

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