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谷川俊太郎「なんでもおまんこ」

2008年09月12日 | 日々嘉綴 芸術 | del.icio.usに追加 | はてなブックマークに追加 | livedoorクリップに追加

一部では昔からサブカル的な意味で有名だったりしますが、谷川俊太郎の名作「なんでもおまんこ」。

なんでもおまんこ  谷川俊太郎

なんでもおまんこなんだよ
あっちに見えてるうぶ毛の生えた丘だってそうだよ
やれたらやりてえんだよ
おれ空に背がとどくほどでっかくなれねえかな
すっぱだかの巨人だよ
でもそうなったら空とやっちゃうかもしれねえな
空だって色っぽいよお
晴れてたって曇ってたってぞくぞくするぜ
空なんか抱いたらおれすぐいっちゃうよ
どうにかしてくれよ
そこに咲いてるその花とだってやりてえよ
形があれに似てるなんてそんなせこい話じゃねえよ
花ん中へ入っていきたくってしょうがねえよ
あれだけ入れるんじゃねえよお
ちっこくなってからだごとぐりぐり入っていくんだよお
どこ行くと思う?
わかるはずねえだろそんなこと
蜂がうらやましいよお
ああたまんねえ
風が吹いてくるよお
風とはもうやってるも同然だよ
頼みもしないのにさわってくるんだ
そよそよそよそようまいんだよさわりかたが
女なんかめじゃねえよお
ああ毛が立っちゃう
どうしてくれるんだよお
おれのからだ
おれの気持ち
溶けてなくなっちゃいそうだよ
おれ地面掘るよ
土の匂いだよ
水もじゅくじゅく湧いてくるよ
おれに土かけてくれよお
草も葉っぱも虫もいっしょくたによお
でもこれじゃまるで死んだみたいだなあ
笑っちゃうよ
おれ死にてえのかなあ


底本:谷川俊太郎詩選集3 集英社文庫

いやぁ、いつ読んでもすごいなぁ。僕は詩という方法に対して基本懐疑的なんだけど、この詩だけは別もの。“リビドー”が単なる“欲求”じゃなく、それでいてやっぱりものすごくプリミティブなものだというのを言葉にするのに、ここまで真摯にとりくんだものは他にないんじゃないでしょうか?

谷川俊太郎曰く「若者よ、リビドーを安売りするなよ!」(オレなりの解釈)

谷川俊太郎さんは今年1月の「ビデオランデブー」の時にご一緒して、その時に行われたトークイベントも拝見したんですが、その時も“真摯”という言葉がよく似合うという印象でした。きっとこの人は誰からどんな質問を受けても、すくなくとも言葉の上ではぐらかしたりはしないんだろうな……そんなふうな人でした。


4087478548谷川俊太郎詩選集 3 (集英社文庫)
谷川 俊太郎
集英社 2005-08-19

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