CoMMU column#012

野々下裕子「Macと大人になりきれないApple」

「Macユーザーがいちばん嫌いなパソコンメーカーはAppleだ」というのは、Mac暦が長い方ほどうなずけるセリフだろう。世界中のMacユーザーが、今なおこのわがままなアメリカ生まれのベンチャー企業にふりまわされ続けている。

初期Macの購入者は国産のPCユーザーに対して、外車のりなどと揶揄されたものだ。センスはいいし、設計思想はすばらしいけれど、ガソリン(金)は喰うわ、走らない(ソフトが動かん)わ。しかも自国のユーザー以外には無頓着。心ある各国のディーラーさんの努力なしには今の地位はなかったにちがいない。

もし、我々がそんなApple社にちゃんとNoを言っていれば、HP社から超小型で高性能なMacOSマシンが発売されていて、日々の業務で違和感なくWindowsユーザーと席を並べて仕事ができたかもしれない。

だが、しょせん我々Macユーザーがもとめているのはそんな大人の世界ではない。PantherやiLifeにすげ〜といいながらも、つっこみをいれまくる日常であり、それにはキャンディだの、鏡もちだの、中途半端なパステルカラーを、大枚はたいて平気で市場に出せるような、大人になりきれないメーカーの存在が必要不可欠なのだ。

であれば、いちばん大人になりきれないのはMacユーザーなのだと自覚して、このへんてこな会社と共にMacというおもちゃをめいいっぱい楽しもうではないか。


(2004/1/31)

トップページへ戻る